
網戸に何やらついていました。
擬態が裏目に出て、逆に目立っています。
本人は気づかれていないつもりらしく、近づいても逃げません。
一般的に擬態をする生物や毒のある生物は反応が鈍く、ちょっと近づいたくらいでは動じない傾向にあります。
逆に、何の武器ももたずなおかつ目立つ、小型の鳥のような生き物は警戒心が強く敏捷で、なかなか近づくことができません。
この擬態生物の反応の鈍さは、変に逃げない方が生き残りやすかったために受け継がれてきた形質だと思いますが、それが適応的なのも森のなかでのことで、網戸のうえで静止していると逆に異質です・・・。

コガネムシもどちらかというと反応の鈍い生物の部類に入ります。
近づいても逃げないし、捕まえるのも簡単です。
この鈍さでこれほど目立つ姿をしていて大丈夫なのかと思いますが、実はこれも擬態の一種で、アスファルトのうえではギラギラと目立つ光沢のある甲殻も、草の間では周囲に溶け込む保護色になります。
もうひとつ、コガネムシのもつ構造色はある種の生物にとっては見えないか、見えてもかなり認識しづらい種類の光だと考えられています。
もしかしたらコガネムシは人間にだけ見えている?
こんなに目立つ姿で鳥にも食べられずにのろのろと歩いているところを見ると思わず、そう思えてきます。
(田中)