
猛暑がやわらぎ、秋の気配が感じられる丸火自然公園です。でも、まだ紅葉するには早いのに、茶色くなっている樹がたくさんあることに気づきます。
実は、これ「ナラ枯れ」と呼ばれる病気で、コナラやミズナラといったドングリがなる広葉樹に、カシノナガキクイムシ(カシナガ)が媒介する、「ナラ菌」が原因とされています。この夏、一気に丸火自然公園内で広がってきました。
数年前から静岡県内でも西部や伊豆を中心にナラ枯れが広がってきており、ついに丸火自然公園でも広がってきたようです。
茶色くなっているコナラの根元をよく見てみると、小さな穴が開いており、その周りに細かい木くずが落ちています。これはカシナガが穴を開けた跡で、コナラの中に卵を産みます。ところがカシナガにはナラ菌が着いており、ナラ菌に感染したコナラは細胞が傷けられ、水分を吸い上げる道管が目詰まりを起こして葉が枯れてしまうとのこと。
ただ、松枯れのように全滅するほど強い感染力はないようで、2-3割が枯死するものの、感染しても枯死しない個体もあるそうです。
実際、明らかに穴が開いてカシナガが入った跡がある個体でも、枯死していないものもあり、抵抗性を持っている個体もあるようです。

これは少年自然の家屋上から南側を撮った写真です。色を補正していますが、この時期、本来なら一面緑色の森が、所々赤・茶色になっています。もちろん、季節外れの紅葉ではありません。
ナラ枯れ、数年で収まると言われていますが、道路沿いやテントサイトなど、通行の多い場所を中心に広がっています。富士市林政課とも相談しながら、枯損木の除去を検討していきます。
それにしても、なぜこの時期に急に広がってきたのでしょうか。
かつて薪炭林として定期的に人為が入り、伐採されていたコナラ林ですが、ここ50年あまり放置され続け、大きくなり過ぎたことが被害を拡大させたと言われています。
人間が手を入れなければ、自然が手を入れて適切な密度に間引く。そう考えると、自然の不思議を感じます。
《大武ウォーリー》